親子関係 避けて通れない問題

前話からの続き...

 

人間の悩みのほとんどは、お金、対人関係、健康の三つに集約されると言われる。

今回は、その中でも対人関係、とくに親子関係についていただいたご質問からお話しする。

 

「自分をコントロールしたがる母親に長年悩まされてきた」

そんな女性からのご相談であった。

親子関係は近い存在だからこそ難しい。他人であれば距離を置くこともできるが、親子となるとそう簡単にはいかない。

ご相談者とは逆の立場だが、私の身近にも長年会えずにいる娘さんについて悩んでいる方がいる。

その方の話をしよう。

 

子どもの頃から過保護・過干渉だった両親を嫌い、その娘さんは高校卒業後にアメリカへ留学した。

その後も日本へ戻らず、アメリカやカナダで暮らし、現在は五十代になって日本へ戻っている。

けれども今でも関係は改善せず、連絡をしても返事がなかったり、会うことを拒まれたりしている。

その方は時々私に連絡をくださる。

「娘は横浜に住んでいるらしいから、様子を見てきてほしい」と頼まれたこともある。

何とかして娘に会いたい。けれども娘は会ってくれない。そんな苦しみを訴え続けている。

 

この方の苦しみはよくわかる。
実は私にもそんな娘がいるからだ。
それでも私は、娘さんとの関係について一度もアドバイスをしたことがない。

その方に私が伝えていることは、いつも一つだ。

 

答えは、自分とタオ(源、大いなる自分)との関係の中にある。

 

娘との関係を何とかしようとすると、私たちは相手に直接働きかけようとしがちだと思う。

思いを伝える。何度も連絡する。贈り物をする。

けれども、最初に見るべきなのはそこではない。

相手との関係ではなく、自分とタオとの関係を見る。

することは、自分が心地よいと感じることをする。

それだけ。

 

私はその方にお願いした。

 

「一週間の中で、気持ちよかったこと、心地よかったこと、ちょっとほっこりしたことを探して、毎週日曜日にLINEで送ってください」

 

その方は今も続けてくださっている。

朝風呂が気持ちよかった。散歩中に鳥の声が聞こえた。庭の花がきれいだった。

そんな小さなことばかりだ。

そう、それでいい。
それで娘さんに会えるようになるとは限らない。

ただ書くことで意識が上向き、意識が向いたところへエネルギーは流れる。

その積み重ねが、少しずつその方の世界をほどいていく。

 

私たちはつい問題にフォーカスする。

問題を分析し、解決策を探し、改善しようとする。

けれども問題ばかりを見続けると、その存在は心の中でどんどん大きくなり、自分では扱いきれなくなってしまうことがある。

タオとのつながりが途切れることはない。

ただ、問題に意識を向け続けることで、そのつながりを感じられなくなるだけだ。

だからこそ、小さな心地よさに意識を向ける。

それは、タオにつながるパイプをきれいにすることでもある。

そうするといつの間にか心が軽くなる。

娘の幸せだけを心から願う状態になる。

会ってくれるかどうかは問題ではなくなる。


そんなある日、私にウエディングドレスを着て幸せそうに微笑む娘の写真が届いた。
十数年ぶりに見る娘の笑顔は、とても美しかった。

あったかい涙が溢れた。
それこそが本当の自分の願いだったと、私は気づいた。

 

地震も、親子関係も、一見するとまったく別の話のように見える。

けれども根底にある考え方は同じである。

 

地震は自然現象。

他人もまた、自分の思い通りにはならない自然。

だから無理に起こそうとしない。

自分とタオとのつながりを思い出す。

ただそれだけなんだと思う。


私は今週も、相談者からのLINEを楽しみに待っている。