最終話 無為自然 - 手放す恐れを超えて

あれから8年。

志は変わっていない。形は、変わった。


無為自然とは、何もしないことではない。

流れを感じ、流れに沿って動くことだと理解している。

抗うことをやめて流れに沿うことは、諦めではない。

流れを信頼する力が、内側に育っていれば自ずから然りだ。

その力は、静けさの中で育つ。呼吸の中で育つ。自分の内側と丁寧に向き合う時間の中で育つ。


あの知人は、僕の人生の大切な登場人物だった。

彼がいなければ、僕は形に執着し続けていたかもしれない。志の本質に気づかないまま、形を守ることに人生を使っていたかもしれない。

形の喪失が、僕の志の本質を顕わにした。


手放すとは、失うことではない。

握っていた手を開いた時、抵抗をやめた時、本当に大切なものが見えてきた。

手放しても、本当に大切なものは、何も失われていなかった。


僕の志の本質は、自身の精神的進化を通して、外の世界がどう動き出すのかを見届けることなんだ。

今日もその実践研究が続いている。