形を失った後、僕は内側へ向かった。
単なる精神世界への逃避ではなかった。
大学院の博士後期課程に戻り、地球環境科学を修めた。
科学の誠実さを手放したくなかった。同時に、東洋思想の深さも手放したくなかった。
その両方が交わるスペースに、自分の場所があると感じていた。
タオヨガ、瞑想、呼吸法の実践を深めた。その実践をシェアすることを始めた。
コロナ禍の真っ只中だったから、ただ誰かに届けばいいと静かに思っていた。
ターゲットとか、戦略とか、それまでの人生で染み付いていたようなことは考えなかった。
自然と人が集まってきてくれた。
変化は、静かに起きた。
長年患っていた持病がずいぶん楽になった、と喜んだ人がいた。
自分が愛おしくなり、仕事で多くの人に喜んでもらえて収入が十倍になった、と報告しに来た人がいた。
もちろんそういった結果を出したのは僕ではないし、成果を保証することもしない。しかし誰でも、内面が変わると、外の世界が動き始めることがある。
周りの方々が、それを見せてくれた。そしてそれは、僕自身が、この10数年間タオと生きてきてわかっていたことでもあった。
内が、外を動かす。
外が内を変えるのではなく、内が整うと外が自然に動き、すべてが調い始める。
それは理論ではなく、目の前で起きている現実だった。
次回最終話 無為自然とは
-手放す恐れを超えて
コメントをお書きください