第1話 志とは何か?- 形をつくる

8年前、僕はそれまで20年以上積み上げてきた全てを失った。そう思っていた。

少し長い話になりそうなので、何回かに分けて書いていく。

これが誰かの助けになれば、と思う。

第1回 志とは何か—形をつくる


20年以上、僕は地球のために働いてきた。と自負していた。

電力会社での仕事、水循環の研究、環境教育。外側から見れば、着実なキャリアだったかもしれない。

でも振り返ると、それらはすべて一つの問いに引き寄せられていた。

人類は、精神的に進化できるのか。

環境問題の本質は、技術や政策の問題ではないと感じていた。

排出量を減らす、効率を上げる、制度を整える、それらは必要だ。でも何かが足りない。

海外に足を運ぶたびに、その感覚は強くなった。国が違っても、文化が違っても、根っこにある人間の意識の問題は同じだった。

人間の意識が変われば、問題は消える。

その問いは、若い頃から僕の内側を流れ、消えることもなかった。


やがて僕は、知人とともに省エネルギーコンサルティング事業を立ち上げた。

これこそが自分のライフワークだと思った。環境への志を、具体的なビジネスという形にする。

社会を動かす手応えがあった。志と仕事が、一致していた。毎日が忙しく、充実していた。

会社、肩書き、プロジェクト、仲間。それらは志の証明になり、やがて志そのものと区別がつかなくなっていった。


志とは、形なのだろうか。


そこへ、あの出来事が来た。


次回——形の終わり。突然の喪失について。

コメントをお書きください

コメント: 3
  • #1

    千里 佐々木 (土曜日, 11 4月 2026 17:24)

    次回はいつでしょうか

  • #2

    どうおん (土曜日, 11 4月 2026 18:08)

    May be comming soon.

  • #3

    湯本俊一 (日曜日, 12 4月 2026 15:58)

    なおたん
    素敵です。