仕組みをつくり、組織を動かす人の、その内側

1997年12月、京都。

主要国の環境大臣らが集まり、地球の気候変動の原因となるCO2などの排出規制について、11日間の話し合いが行われた。


当時30代だった僕は、1週間の有給休暇をもらい、環境NGOのメンバーとして、国立京都国際会館に通っていた。会議の日々の様子を、市民に向けてレポートするためだった。


ホールの後ろの方で僕も参加していた、ある会合でのこと。それは、政治家に向けた会合だったと記憶している。

会議の冒頭の挨拶に立ったのは、あるカナダ人の女性だった。

彼女は各国の政治家を前に、この言葉でスピーチを始めた。

「私たちに今必要なのは、精神的な進化です。」


僕は、この言葉にシビれた。
「そう、その通りだ。環境問題は政策や技術の問題ではなく、価値観の問題なんだ」。

そして生意気にも、こう思っていた。

「ここにいる政治家のうち、一体どれくらいの人が、この言葉に本気で納得しているんだろう…?」

国際会議の場で、世界中の政治家を前に堂々と語る彼女の姿は希望の光だった。

そして、当時エネルギー企業の中で恐る恐る環境問題を訴えていた僕にも、その勇気が欲しいと思った。


最近、AIの力を借りて彼女の消息を辿ってみた。 名前は、エリザベス・ダウデスウェル。

当時、UNEP(国連環境計画)の事務局長を務めていた女性だ。

科学者や政治家が集まった議論の場で、「地球を救うのは政策ではなく、人間の内面的な変化である」と語った彼女は、当時としてはとても稀有で先駆的なリーダーだった。

彼女は今も健在で、80代になった今もなお、世界に”人と地球の関係性と価値観の変容”を訴え続けている。


あれから29年。

彼女から受け取ったあの言葉は、僕の肚の中で、だんだん確信に変わっていった。

仕組みをつくり、組織を動かす人たち。その人の内側にある氣の滞りがほどけていくこと。生命としての本来の響きを取り戻していくこと。

その道の先に、タオ的な社会変革がある。
僕はそう思うようになった。


コロナ禍以降のこの6年ほど、僕は経営者や組織の管理職の人たちと、ゆっくり意見を交わす機会があまりない。

最近のビジネスパーソンは、どんな心境なんだろう。
みなさん、調子はどうですか?

組織を動かし、責任を背負いながら、この変化の数年をどうくぐり抜けてきたのだろう。

プレッシャーは強くなっていないだろうか。
その中で、自分の内側の声と静かに向き合う時間は、まだあるだろうか?


社会を変えようとしてきたわけではない。
ただ、人の内側に流れる氣が整えば、その人のつくる世界も変わる。

何度もつまづきながら、それを身近な世界で確かめながら、僕はここまで来た。

今年、29年前に受け取った問いに対して、一つの答えを世に問う場をひらく。